葬儀の後

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葬儀後の引き継ぎ

  • 世話役からの事務的な引き継ぎはなるべく早く、仕上げの前後に行います。
  • 香典、出入金など会計帳簿、香典供花供物の控え帳、会葬者芳名帳、弔辞弔電など、確実に受け継ぎます。香典は正確な金額を確認し、引き継ぎます。
  • 必要経費を立て替えてもらったときは、少額でもその場で清算します。
  • 葬儀費用は、相続税の債務控除となるため、会計書類は整理して紛失しないよう一括保管します。
  • 隣近所から借用したものがあれば返却します。

あいさつ回り

  • 葬儀後、とくにお世話になった方々や主だった会葬者にお礼に伺います
  • 隣近所や寺院、神社、教会及び喪主や故人の勤務先関係には、できるだけ早い機会にお礼に伺います。
  • 関係先が多い場合、遺族で分担して回ります。
  • あいさつ回りの時の服装は喪服が望ましいのですが、地味な服装であれば差し支えありません。
  • 故人の勤務先を訪問する時はあらかじめ電話で了解を得て、退職金の手続き等も併せて行えるようにします。
  • 本来は近親者が喪主に代わり、二人一組で回りましたが、現在では喪主自身が出向くのが一般的です。

関係者への御礼

  • 寺院、神社への支払いは、葬儀当日、開式の直前または退場の直後に控室でお渡しします。
  • 仕上げ料理、飲み物等を直接手配の場合は、早い機会に支払いを済ませます。
  • 隣近所、世話役にとくにお世話になった場合、感謝の気持を伝えます。
  • キリスト教では教会への献金の形をとることが多く、神父や牧師、オルガン奏者へは別にお礼を包みます。教会の慣習に詳しい人に相談します。

葬儀費用の控除

葬儀費用の中で、次のような費用を相続人が負担したときは、その分を相続財産の価格から差し引くことができます。
・葬式、埋葬、火葬、納骨、遺骨の回送などに要した費用
・お寺へのお布施、戒名料
・通常の葬式にともなう費用
・死体運搬等に要した費用

また、葬式費用とみなされないものは下記の通りです。
・香典返しの費用
・墓碑、墓地の購入費用や借入料
・初七日等法要に要する費用
・死体の解剖等に要した費用
なお、遺族が受け取る通常の香典には税金がかかりません。

遺品の整理と形見分け

  • 遺品はまず保存分と処分するものに分けます。
  • 形見分けの範囲は近親者か、ごく親しい友人程度にとどめます。
  • 忌明けの頃に、思い出のしるしとして贈ります。
  • 形見分けは、包装せずにそのまま贈るのがしきたりです。
  • 故人より目上の人への形見分けはさし控えます。
  • 遺品には衣類や装身具、実用品、書籍、骨董品、趣味の道具、研究や趣味のための資料などが選ばれます。
  • 品物によっては贈与税の対象となる場合があります。

遺言書がある場合

遺言書を見つけたら、たとえ家族でも勝手に開封せず、できるだけ早い機会に家庭裁判所に届けます。裁判所では、相続人などの立ち会いのもとに開封され、検認を受けます。ビデオやカセットテープは法的には無効で、民法の様式に従って書かれたものだけが有効となります。遺言書がないとき、遺産は法律の定めに従って配分されます。

勤務先での手続き確認

  • 勤務先へのあいさつ回りの際、またはできるだけ早い機会に、勤務先での故人の遺品を整理します。
  • 公的な書類やカギ、バッジ、健康保険証、社員証など勤務先から支給されたものは返却します。
  • 仕事関係の資料等を自宅に持ち帰っていた場合についても同様です。
  • 清算する費用等があれば確認し、処理します。
  • 私物があれば勤務先に確認の上、引き取ります。

納骨・埋葬と墓地・墓石の準備

  • 納骨・埋葬は、忌明け法要日か遅くとも1年以内に済ませます。墓地がないなどで、どうしても無理な場合は、お寺に預けるか納骨堂に納めます。
  • 納骨式には、遺骨、花、線香、ロウソク、桶、柄杓などを用意します。公営墓地・墓園の場合には火葬(埋葬)許可証が必要です。
  • 僧侶や墓地管理人へのお礼として、それぞれ「御布施」「御礼」を用意します。
  • 埋葬納骨後、食事を用意して労をねぎらいます。

生命保険金の手続き

  • 死亡後は直ちに保険会社へ連絡をします。死亡保険金の請求は3年を過ぎると時効となります。
  • 郵便局の簡易保険や勤務先で一括加入の団体生命保険、経営者保険、生命保険付き住宅ローン等故人の加入保険をよく調べ、各窓口で請求します。
  • 保険会社から送付された請求用紙に、必要書類を添えて提出します。郵便局の簡易保険は各郵便局の窓口から、必要書類を添え請求します。
  • 保険金は書類の本社到着後、おおむね5日以内に受け取ることができます。

年金の手続き

  • 故人が厚生年金保険の被保険者の場合、故人に生計を維持されていた一定範囲の遺族に、「遺族厚生年金」が支給されます。
  • 故人が国民年金の被保険者の場合は、故人に生計を維持されていた18才未満の子供がいる時、一定条件の妻子にたいして「遺族基礎年金」が支給されます。
  • 国民年金独自の給付に、一定条件の遺族に対する「寡婦年金」や「死亡一時金」があり、一つを選択します。
  • 各種共済組合に加入の場合も「遺族共済年金」が支給されますが、制度ごとに規定が異なります。

葬祭料・埋葬料の受取り

  • 業務上又は通勤途上の傷病により死亡のときは、葬祭を行う者に対し、労災保険から「葬祭料」が支給されます。申請先は所轄労働基準監督署です。
  • 私傷病で健康保険の被保険者本人が死亡の時は、埋葬を行う者に対して健康保険から「埋葬料」が支給されます。被扶養者が死亡の場合には、「家族埋葬料」が支給されます。申請先は所轄社会保険事務所です。
  • 国民健康保険の被保険者は市区町村の担当窓口で手続きを行います。
  • 葬祭費用は市区町村により支給額、名称が異なります。

税金の手続き(故人の確定申告)

  • 年の途中で死亡した場合、その年分の所得税の確定申告は故人に代わって相続人が行います。
  • 期限は原則として相続の開始があったことを知った日の翌日から4カ月以内です。
  • 申告書提出先は故人の住所地の所轄税務署です。
  • 故人の所得税額は、相続財産から控除できます。
  • 故人の勤務先で給与から源泉徴収されている場合は、勤務先の年末調整で終了し、確定申告の必要がない場合もあり、勤務先に直接相談して下さい。

法廷相続の割合

故人に遺言がないときは、相続する取り分の限度が法律で決められており、これを法定相続分といいます。法定相続人である故人の配偶者や子・直系尊属・直系卑属・兄弟姉妹・おい・めいは、民法に定められた範囲と順序に従って相続します。もし、遺言により指定相続分がある場合は法定相続分より優先して適用されます。このときにも、配偶者と子と直系尊属には最低限の相続分を保障する「遺留分」が認められています。


配偶者の相続分は1/2、残りの1/2を子供の人数で均等に分けます。非摘出子は、嫡出子の半分を相続として計算します。


配偶者が2/3、直系尊属が1/3を均等に分けます。


配偶者が3/4、兄弟姉妹が1/4を均等に分けます。

税金の手続き(医療費控除)

  • 故人が医師や歯科医師に払った治療費は、確定申告の手続きの際一定の金額を控除でき、税金のもどることがあります。
  • 医療費控除の申告は5年間逆上れる場合があります。
  • 故人を含む家族の年間医療費が、保険でまかなわれた金額を除いて10万円(所得により、その5%)を超えれば医療費控除の対象となります。
  • 医療費控除の申請に必要なものは、(1)その年の源泉徴収票(2)出費を証明する領収書(3)印鑑等です。

控除の対象となる医療費

・医師・歯科医師による診療・治療
・治療、療養のための医薬品の購入
・病院や診療所等に収容されるための人的役務の提供
・あん摩マッサージ指圧師、はり師、きゅう師、柔道整復師などによる施術
・保健婦や看護婦、准看護婦による療養上の世話
・助産婦による分娩の介助
・医師等による診療、治療、施術又は分娩の介助を受けるために直接必要な費用

遺産評価と相続税

  • 現金以外の財産がいくらになるかは、税務当局が定めた評価方法により、時価で算定されます。
  • 相続財産のうちとくに値段の高い不動産については、路線価方式や倍率方式により評価額が計算されます。実際の売買価格よりは低くなっています。
  • その他の評価方法は下記の通りです。

    ●借地権/宅地の価額×借地権割合 ●地上権・耕作権/権利がない土地価格の一定割合 ●取引相場のある株式/取引価格 ●書画・骨董品/取引価額 ●自動車・機械器具・商品/売却した場合の価額 ●ゴルフ会員権/原則として取引価格の70% ●貯預金/預入残高に既経過利子を加算したもの

相続税のかかる財産・かからない財産

相続税のかかる財産は、本来の相続財産である土地・家屋・有価証券などです。
また、相続税法でもらったものとみなされる生命保険金・死亡退職金・債務免除などの「みなし相続財産」にも相続税がかかります。

相続税のかからない財産には、以下のようなものがあります。
・墓地・霊廟・仏壇・仏具
・公益事業用財産
・生命保険金の一定額
・死亡退職金の一定額
・寄付財産など

相続税の申告と納付

  • 相続と3年以内に贈与された正味遺産の合計から、債務や葬儀費用、非課税財産を引いて遺産の課税価格を出します。ここから基礎控除額を引いた残りが課税される遺産の総額です。
  • 申告先は、故人の住所地の税務署です。
  • 相続税の申告は、故人が亡くなったことを知った日の翌日から10カ月以内に行います。
  • 相続人全員で申告書を1通にまとめて申告します。
  • 申告と同時に全額現金で納付するのが原則です。

「更正の請求」と「修正申告」

申告日までに遺産の分割が決まらない時でも、法廷相続分通り相続したものとして申告納税しなければなりません。
その後、遺産分割がまとまった結果申告税額が多すぎるときなどでは、事由が生じたことを知った日の翌日から4カ月以内に「更正の請求」をして税金を還付してもらいます。
なお申告書類提出後、計算等に誤りがあり、余分に申告している場合は、申告期限から1年以内に限り、「修正申告」をして税金を還付してもらうことができます。

相続財産の名義書き替え

  • 故人名義の遺産分割の具体的な方法が決定したら、相続財産の名義変更が必要です。
  • 名義変更には遺産分割協議書または相続人全員の同意書、印鑑証明書、戸籍謄本、除籍謄本等各種書類が必要です。不動産の所有権移転登記では一定の登録免許税がかかります。
  • 故人の負債が多い場合、相続財産の範囲内で借金を支払う「限定承認」と、相続を拒否する「相続放棄」があります。この手続きは、相続を知った日から3カ月以内に家庭裁判所で行います。

主な名義変更一覧

遺産の種類 手続き 手続き先
不動産(宅地・家屋) 相続による所有権移転登記 地方法務局
自動車 移転登記 陸運支局自動車検査登録事務所
電話加入権 加入権承継手続き NTT
預貯金 銀行預貯金郵便貯金の相続手続 預貯金先
株式 株主名義変更 各証券会社
ゴルフ会員権 名義変更 所属ゴルフ場
クレジットカード 失効手続き 各クレジット会社